2010年1月18日月曜日

「納棺夫日記」と「おくりびと」

青木新門さんが書かれた「納棺夫日記」。「納棺夫」と言うのは青木氏の造語。
これをとやかく言うのではない。
日本葬送文化学会で昨年5月21日に講演をして頂いた。詳しくはこちら
さて、青木氏が映画にもの凄くご立腹であったことは確か。
映画関係者はベースは本であっても「あなたの映画じゃない」と言って青木氏をバッサリ切ったと言う。
そりゃ、頭に来るだろう。

さて、この本を読み終えて改めて感じたのが、映画は本の最初の10ページの内容を拡大解釈したこと。
酷いな、こりゃ!でもこれが映画の世界。

次に、この本は現在でも通用する葬祭業の実態が書かれている。
そう、現場はどうしているかを鮮明に書き出されている。
私は映画に大してすごく違和感を憶えた。更に、地方の青木氏の葬送文化を壊してしまった現実にも。
でもこれは仕方がない事であり、本来は遺族が納棺をしなければならなかったところ、今まで息をしていた人たちが亡くなって、冷たくなったら人扱いしなくなる現状をこの目で見ているから尚更、感じることが出来た。
我々葬祭業はどんな状態でも遺体を扱わねばならない。腐乱していようが、蛆虫が沸いていようが、水死体であろが、飛び込み自殺であろうが。ハッキリ言って、東京都の警視庁以外、その片付け作業は全て葬儀社がやっている。それを知らない「葬儀評論家」や「都内の職業訓練場」が雑誌で格好良いことを言っているには憤りを感じる。新米警察官なんか怯んで腰を抜かすことが多いところ我々は現場処理をしなければならない。

それがこの本にはきちんと書かれている。
映画は綺麗なところしか見せないが、本は我々日ごろ葬祭業が扱う死体をきちんと書いている。
みんなに映画ではなく、この本を読んで欲しいと願うばかり。